コラム

 公開日: 2014-10-24  最終更新日: 2015-06-23

株式会社設立時の定款作成のポイント-①目的編

 以前のコラムで株式会社設立の流れを簡単にご説明しましたので、これから数回にかけて、株式会社設立時の第1ステップである定款作成のポイントについてお伝えしていこうと思います。

 今回は第1回目として、定款の記載事項の中で最重要といっても過言ではない、「目的」の記載ポイントについて紹介したいと思います。

 まず定款には、「商号」、「目的」、「本店所在地」などの「絶対的記載事項」というものがあります。これらの絶対的記載事項の記載の無い定款は、定款そのものが無効となってしまいますので注意が必要です。
 逆に言うと絶対的記載事項は、会社にとってそれだけ重要な基本項目であり、これに含まれていることからも「目的」が大変重要であることがおわかりいただけると思います。

 この定款の「目的」が重要である大きな理由のひとつは、目的に記載のない行為を会社が行った場合、その行為は無効となってしまうということです。
 たとえば会社が、定款の目的に記載のない事業の商品を販売した場合、その商品売買契約は無効となりますので、後日、買い主から無効を主張されるなどのトラブルになることも考えられます。

 定款の目的を適正に定めておけば、前述のようなトラブルを防止するとともに、後で述べたように将来の事業展開もスムーズに運ぶことができまので、そのための定款作成時の目的設定のポイントをご紹介いたします。


ポイント① 「すぐやる」「やるつもり」「やりたい」事業を記載しておこう!
 目的には、設立後すぐに実施する事業はもちろんですが、近い将来に実施するまたは実施したい事業も記載しておくことをおすすめします。
 そうしておけば、設立当初はやっていなかったそれらの事業を後日始めようとしたときに、定款の目的変更や追加が不要となり、登記費用などもかからず、すぐに有効な事業として開始できます。
 しかし、もし、これらの事業を目的として記載していなければ、事業開始時に定款の目的変更が必要となってしまい、余計な費用と時間をかけることとなってしまいます。


ポイント② 許認可が必要な事業は記載漏れや文言にご注意!
 たとえば一定規模以上の建設業を実施する場合など、行政の許認可が必要な事業を行うまたは行う予定がある場合は、必ず目的に当該事業を記載するようにして下さい。
 その理由は、行政の許認可が必要な事業を法人(株式会社など)が実施する場合には、「定款の目的に対象事業の記載があること」が許認可の要件となっていることが通常だからです。
 また、たとえ目的に当該事業の記載があっても、その記載の文言に不備があるために許認可がおりないというケースも考えられますので、事前に専門家や所管の行政官庁に確認しておくことをおすすめします。


ポイント③ 事業内容は具体的に定めすぎず、ある程度の曖昧さを残しておこう!
 たとえば、希少価値の高い卵の販売事業で、起業と同時に株式会社を設立するケースを考えてみましょう。
 もし、設立当初の定款の目的を「卵の販売業」としてしまうと、後日、卵に合う醤油を開発して販売しようとしたときに定款変更が必要となってしまいます。
 この場合、当初の目的を「卵の販売業」ではなく「食料品の販売業」としておけば、主力商品の卵も、後日開発した醤油もともに、定款の目的を変更せずに販売することができました。
 この例のように、事業活動の拡大に対する柔軟性の点から、目的にはある程度の曖昧さを残しておいた方がよいでしょう。ただし、あまりに抽象的に設定してしまうと、第三者が見たときに、「何をやっている会社なのかがわからなくなる」などの問題も起こってきますのでご注意下さい。


ポイント④ 主力事業と関連性の高い事業も盛りこもう!
 こちらはポイント①と重複するところもあるかと思いますが、主力事業と関連性が高い事業も、設立当初の目的に盛り込んでおくことをおすすめします。
 ここでは、ふたたび③の卵の販売事業のケースで考えてみましょう。
 たとえば主力事業と関連する事業としては、卵を使った卵加工品の製造や、卵を主な材料とする料理教室の開催、これらの事業拡大を目的としたフランチャイズ化、より品質の高い卵を開発するための養鶏業への参入などが考えられます。
 そこで、定款の目的に「卵加工品の製造業」「料理教室の運営」「加盟店のための開業及び営業指導ならびに広告宣伝業」「養鶏業」などをあらかじめ記載しておけば、シナジー(相乗効果)を効かせた関連事業への事業拡大をスムーズに行うことできます。


 以上、定款の目的記載のポイントを4つ紹介させていただきました。
 定款の目的設定は、将来を見通して考えることが大切だということがお解かりいただけたのではないでしょうか?
 ただし、記載する事業の数が多すぎると、③の問題点と同様、何をやっている会社なのかがわからなくなってしまいますのでお気を付け下さい。定款の目的に記載する事業の数は、一般的には6~8事業程度、多くても10事業以内にされるのがよろしいかと思います。

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