コラム

 公開日: 2015-06-09 

 入管手続きの実務事例のご紹介-留学から人文知識・国際業務への在留資格変更-

 今回のコラムでは、実際に当事務所でご依頼をうけた入管手続きの実務事例をご紹介したいと思います。

 まず、本題に入る前に外国人の方の日本への出入国および滞在の仕組みについて簡単にご説明します。

 外国人の方が日本に入国し滞在(在留)するには「在留資格」というものが必要となります。そして日本に在留する外国人の方は、原則として、その方が保有する在留資格で認められた収益活動のみ行うことができます。

 例えば、「留学」という在留資格がありますが、この資格は学生として勉強することを目的とする資格ですので、原則的には在留中に働くことは認められていません。
 もし「留学」の資格で在留中にアルバイトなどの収益活動を行ってしまうと、「資格外活動」(いわゆる不法就労)となり、入管法の退去強制事由に該当します。
 ただし、留学の場合は「資格外活動許可」を取得すれば、その許可の範囲内でアルバイトなどの就労をすることができます。

 事業主の方が外国人労働者を雇用しようとする場合は、その外国人労働者に従事させようとする業務が、その外国人が有している在留資格または資格外活動許可で認められた収益活動に該当するかどうかをしっかりと確認しておくことが重要です。
 安易に雇い入れて就労させたところ、万が一その従事する業務が資格外活動に該当した場合は、当然不法就労となり、外国人労働者本人のみならず事業主も処罰されることがありますので十分ご注意下さい。

 さて、ここから実際に当事務所で受任した案件についてご紹介します。

 ご依頼は、平成27年1月下旬頃で、長崎県内にある法人M社様から、3月に大学を卒業される中国人女性Tさんを、4月から輸出事業の通訳および事務として雇用したいというものでした。

 手続きとしては、「留学」から「人文知識・国際業務(以降「人国」と表記します。)」へのTさんの在留資格変更が必要でした。
  「通訳」として「人国」の資格を取得するためには、原則として3年以上の実務経験が許可要件として求められますが、例外的に大学卒業者が従事する場合は実務経験は問われません。Tさんは3月で大学卒業となりますのでこちらの要件は問題ありませんでした。
 しかし、M社様では過去に輸出の実績はあったものの、現在は輸出事業を実施していませんでした。
 本来、輸出事業の通訳および事務として雇用するのであれば、在留資格変更の申請時点でM社様が輸出事業を実施していることが前提であり、ご依頼のケースでは原則的には変更が認められないことになります。

 そこで、Tさん採用後の輸出事業実施の具体性と確実性を担保証明するための添付資料として、平成26年9月(8月決算法人だったため)以降5年分の事業計画書を作成し、3月中旬に申請書と一緒に入国管理局に提出したところ、その後一週間ほどで無事資格変更の許可がおり、現在TさんはM社様で元気に働いています。

 このケースのように、現時点で実施していない事業に従事させるために在留資格を変更する場合でも、事業計画書などによって、その事業を将来実施することについての具体性と確実性を証明することができれば、変更が許可されることもありますので検討してみて下さい。

 ただし、変更が許可されるかどうかは、各申請ケースごとに様々な事項を総合的に判断して、法務大臣が裁量で決定しますので、事業計画書等を添付すれば必ず許可されるというものではありませんのでご注意下さい。

 今回ご紹介したようなケースでお悩みの方がいらっしゃれば、いつでもお気軽に当事務所までご相談下さい。

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