コラム

 公開日: 2015-06-14 

社長、うっかり損していませんか?!-役員報酬と在職老齢年金について考える①-

 今回と次回の2回に分けて、社労士とFPの視点から「在職老齢年金」について一緒に考えてみたいと思います。

 1回目は、「在職老齢年金」の基本的な仕組みを、会社員であるAさんの受給例を通してみていきたいと思います。
 そして2回目で、コラムタイトルにあるように「オーナー社長が受給する場合の損得」について考えてみたいと思います。

在職老齢年金とは?

 皆さんは、「在職老齢年金」というものをご存じでしょうか?

 簡単に説明しますと、年金受給中の方が、会社に勤務して給料や賞与をもらいながら、同時に年金を受給している場合に、受け取る年金額の全部または一部が支給停止されるというものです。
 ただし、会社に勤務していても、短時間勤務など厚生年金に加入しない場合はこの仕組みは適用されません。

 また、支給停止額は一定の計算方法で算定されますが、65歳未満の方と65歳以上の方で計算方法が異なります。

65歳未満での支給停止額

 65歳未満では、「月給+年間賞与額÷12ヶ月+年金額÷12>28万円」、つまり他に収入がない場合、1ヶ月あたりの収入額が「28万円」を超えると、「超えた額の2分の1の額」(実際はもう少し計算が複雑で2分の1以上の額が停止となるケースもあります)が年金額から支給停止となります。

65歳以上での支給停止額

 65歳以上では、65歳未満の場合の「28万円」が「47万円」まで引き上げられ、1ヶ月あたりの収入額が「47万円」を超えると、「超えた額の2分の1の額」が年金額から支給停止されます。

 では、簡単に仕組みが理解できたところで、実際のケースで考えてみましょう。

65歳未満の会社員(従業員)Aさんのケース

 65歳未満の会社員(従業員)Aさん、月給24万円、賞与30万円×年2回、年金額60万円のケースで、停止額を計算してみます。

  a.(賞与の月額換算額)=賞与30万円×年2回÷12ヶ月=5万円
  b.(支給停止前の年金月額)=年金額60万円÷12ヶ月=5万円
  c.(1ヶ月あたりの収入額)=月給24万円+a+b=34万円
  d.(支給停止額(年額))=c-28万円÷2×12ヶ月=36万円

 このケースでの支給停止額は年間36万円(月額=3万円)となり、1ヶ月あたりの収入額は、給与24万円+賞与の月額換算額5万円+(年金月額5万円-支給停止額3万円)=31万円、年間収入額は31万円×12ヶ月=372万円です。

 

月給を24万円→20万円に減額

  では、ここでAさんの年金受取額を増やすために、月給を24万円→20万円に下げるとどうなるかを見てみましょう。

 上記の計算式にあてはめると、a式とb式は変わりません。
 c式の月給が24万円→20万円に減ってc=30万円となり、d式中のc部分に30万円を当てはめて計算するとd=12万円で、年間12万円が停止されます。

 支給停止月額は12万円÷12ヶ月=1万円となり、、1ヶ月あたりの収入額は、給与20万円+賞与の月額換算額5万円+(年金月額5万円-支給停止額1万円)=29万円、年間収入額は29万円×12ヶ月=348万円です。

 結果として、1ヶ月あたりの収入は変更前31万円-変更後29万円=2万円の減収、年間収入額は372万円-348万円=24万円の減収となってしまい、変更前の月給1ヶ月分相当の収入が失われたことになります。

年金を増やすために給与を下げる必要はありません!

 つまり、年金の停止を嫌って給与額を引き下げたとしても、年金額は引き下げた額の半分しか増えないため、引き下げ前の給料をそのままもらった方が有利であり、年金額を増やすために給与を下げる必要はないということになります。

 さて、ここまで見てきたように、会社の従業員さんの場合は、年金額を増やすために給与を引き下げないほうが良いのですが、会社のオーナー社長さんの場合は少し話が違ってきますので、このあたりについて次回のコラムで考察してみようと思います。

 ※本来の在職老齢年金の支給停止額の計算では、「標準報酬月額」「標準賞与額」と呼ばれるものを使
  用して計算しますが、当コラム中では、説明・計算をわかりやすくするために、「月給」「賞与の月額換算
  額」を用いています。
   「月給」「賞与の月額換算額」を使用した計算結果と「標準報酬月額」「標準賞与額」を使用した計算
  結果が異なる場合がありますのでご注意下さい。

この記事を書いたプロ

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行政書士 藤原剛

長崎県長崎県諫早市天満町28-5 [地図]
TEL:0957-22-5751

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