コラム

 公開日: 2013-11-06  最終更新日: 2016-03-18

フィラリア症(犬糸状虫症)予防について①。実は猫ちゃんも要注意ですよ。

残暑が厳しかった今年の秋ですが、やっと少し涼しくなってきましたね。


毎年春から予防を始めるフィラリア症(犬糸状虫症)ですが、涼しくなっても薬を飲ませる必要があるの?といった質問をよく頂きます。そこで今回はフィラリア症について、よく頂く質問を中心にお話したいと思います。


Q1.そもそもフィラリア症って何?
Q2.本当にかかるの?長崎にはどのくらいいるの?
Q3.なぜ毎年検査をする必要があるの?
Q4.10月過ぎには蚊はほとんど見なくなっているのに、なぜ11月末もしくは12月まで予防する必要があるの?

Q5.1回飲ませ忘れてしまった!大丈夫?
Q6.フィラリア症にかかってしまった。治療法は?
Q7.毎月飲ませるのが大変。忘れてしまうし、きちんと飲ませられているか心配。飲み薬以外の他の方法は無いの?
Q8.猫ちゃんにもフィラリア症はかかるって本当?





Q1.そもそもフィラリア症って何?

A1.蚊が媒介する(運んできて感染させる)細長い糸状の寄生虫で、心臓で成虫(体長20~30cm)となり全身に悪さをし始めます。目に見える症状として、咳をする、痩せているのにお腹だけが異常に大きくなる(腹水)、茶褐色の血尿、運動を嫌がる、他があります。急性例では突然死することも珍しくはありません。


当院で採取したフィラリア成虫です。
首の血管から心臓にカテーテルを入れ釣り出しました。これは20匹ほどですが、多い場合は100匹以上釣れることもあります。



Q2.本当にかかるの?長崎にはどのくらいいるの?

A2.かかります、それもとても簡単に。

 当院でも毎年必ず見つかります。その年によっても数の差はありますが、当院のデータでは一昨年は約300頭検査をして20頭の感染、昨年は8頭ほど、今年はまだ少なめで10月の時点では2頭だけですが、例年冬場に確認する例が多いためまだまだわかりません。

 また長崎のなかでも地域差はあり、地域全体の予防意識の差によっても感染数は変化します。当院は場所柄少ないほうかと思いますが、長崎市中心部よりも周辺部、諫早市、その更に周辺部に行くほど感染患者数は多いようです。五島も非常に多いと聞きます。

 私個人の経験では、東京・千葉での勤務医時代は毎年1000頭ほど検査して1頭確認するかしないか程度だったので、当院一昨年の300頭中20頭は長崎がいかに多いかお分かりいただけるかと思います。



Q3.なぜ毎年検査をする必要があるの?

A3.万が一感染している状態で予防薬を飲むと、わんちゃんがショックを起こし最悪の場合死んでしまう危険性があるからです。

 この動画は今年当院の検査で確認したミクロフィラリア(フィラリアの子虫)です。

 全体­の赤い背景が赤血球で、そこの中で動いているものがフィラリアの子虫(4体)です。

 この画像は血液1滴をスライドグラスに乗せ顕微鏡で見たところですが、血液1滴の中の更にその一部分だけで4匹の虫体が確認できます。これは心臓に寄生している成虫が生んだ子虫なのですが、多い場合はこの一視野で数十匹確認する場合もあります。
 1滴の血液のなかにこれだけ確認できるということは、全身の血液量に換算すると、、、恐ろしい数の子虫が全身にいることになりますので、それらを一気にやっつけてしまうということは非常に危険なこととなります。

 ちなみに当院で行う検査はこの直接鏡検と、ヘマトクリット管鏡検、前年予防していない場合は抗原検出検査まで行い、感染の見落としが無いように注意をしています。

その他のフィラリア症検査の動画(全て今年当院にて撮影)
・ミクロフィラリア(直接鏡検:100倍)
・ミクロフィラリア(ヘマトクリット管:40倍①)
・ミクロフィラリア(ヘマトクリット管:40倍②)



Q4.10月過ぎには蚊はほとんど見なくなっているのに、なぜ11月末もしくは12月まで予防する必要があるの?


A4.実はこの質問が最も多いため、しっかりと説明をする必要があります。
 フィラリア症の予防薬、、、と一般的に言われている薬は、

実は「予防薬」では無く、「駆虫薬」なのです。

実際は

「服用後1ヶ月間の予防をしているのではなく、服用前1ヶ月間に感染した虫を駆虫している(やっつけている)」

のです。従って、長崎の場合では11月初めまで蚊の生息が確認されますので、


「蚊が完全にいなくなった後で1回飲む」

ことが、最も重要なのです。




長くなってしまいましたので、残りの質問は次回にさせて頂きます。


 >フィラリア症(犬糸状虫症)予防について②

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※ご質問はできるだけ返答するように致しますが、個々の病気の質問に関しては、患者様の現在の状態や病気の経過日数、犬種・猫種、年齢、既往症、それまでの治療歴、検査等により状況が大きく異なりますので具体的な返答が難しい場合が多くあります。直接ご来院下さい。
またすぐに返信できない場合がありますが、ご了承下さい。

この記事を書いたプロ

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獣医師 青木紘

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