コラム

 公開日: 2014-01-11  最終更新日: 2014-11-09

長崎市公会堂の存続・再生の活動

長崎市公会堂。長崎県出身の武基雄さんが設計した建築です。

こどものころから 音楽会といえば公会堂でしたからたくさんの思い出があります。
クラシックも聞いていたので中学生のころからN響などがくると行っていました。
高校のときはクラシックファンの先生方に車に乗せて頂いて一緒に行ってもらっていました。
当時は9時過ぎまでアンコールなどが続いていたのでいつも8時50分ころにはでてバス停まで走って最終に飛び乗っていたものです。しかしいつのころからか9時前にはすべての演奏が終わるようになって・・・・。どうも市の運営上、9時までには撤収という決まりができていたようです。

もう15年ほどまえ、東京で舞台監督などをやっている親友がいて長崎で市民ミュージカルをやるというので最初から手伝ったこともあります。

ステージに立ったことはありませんが、ほんとうにいろいろ思い出します。

そうそう、公会堂はほかの建築とはちがって普通の建築ではない空間、なんとも言えない魅力のある空間だというのは建築に興味がなかった頃から当然のように感じていたものです。
これが建築の力だったのでしょう。

この公会堂はDOCOMOMOという、世界で近代建築を守っていこうという組織から日本の建築100選にえらばれているほどの名作。いまでも建築を学ぶ学生たちが全国から見学にくるほどの建築でもあるのです。そしてまた近代の建築が解体されていく中で、もうしばらくしたらとても貴重な文化遺産的建築となり一般の方も建築として見に来るようになるくらいの価値のあるものになることでしょう。

ただ、残念ながら今の長崎市の計画では市役所用地としての候補となり取り壊される運命にあります。

主な理由は以前から指摘されることも多い音響の悪さ、使いにくさ、それと耐震化の必要もありかつ寿命が間近ということのようです。

ここで考えるべきは、音響のわるさ、使いにくさという問題に対し随分前から指摘されているにも関わらず、一度も改善しようと改修などを行わなかったという事実です。住宅などでも50年もたてば時代に合わせた改修工事を行います。オフィスにしてもそうです。病院だって・・。
時代に合わせて改修を施すことは当たり前のことなのに、それをやってこず、都合で建て替えたくなったら、それを一番の理由にあげるとは・・・。

市長は建て替えにあたって市民の声を聞いてより良い物を建てるつもりだといいます。
しかし、規模縮小される新しいホールが良いホールになるとは限りません。
意見に偏りがあるかもしれませんし、技術が伴わないかもしれません。貧乏な市である長崎市がふんだんにお金をつぎ込めるはずはなく、まともな音響設計ができるものなのか・・・。

仮に実際につくってみて今の公会堂のような問題が起こったら・・・
失礼ながら素人では図面から読み取る力などあるはずはないのですから新築とした場合、頭のなかで完全なシミュレーションができるとは考えられませんから、できてしまってダメだったという可能性も大いにあります。音響についても最近出来たホールがすべていいのかというと、そうではないものもたくさんあります。そうなると、また、50年、放ったらかして改修もせず評判のわるいホールであり続けるのではないでしょうか。

一方、今の公会堂の改修という手法をとれば、今の欠点は色々な方が使っているので現実の欠陥が洗い出されるはず。現実に使っているのですから、現物を見ながらいいところ、わるいところを指摘するのは容易です、新公会堂は規模縮小というのですから、改修にあたっては席数を減らし、問題を解決するためのスペースに当てることも可能ですし、部分的に増築などで対応することも可能。音響にしても、実際に箱があるのですから、パソコン上のシミュレーションだけでなく、ましてや勘に頼ることなく現場で実際に実験しながら音を作りなおすことが可能になることでしょう。音響設備も一緒です。今の欠点を洗い出し的確な判断のもと、ベストなものをつくれるはず。

そして、建物そのものは50年の歴史を持つ名建築なのですからいいものにならないはずがない。

改修には改修ならではの利点があるのです。ましてやホールです。構造的な欠点がないとなれば、折り紙つきの名建築ですからこれからも歴史を積み重ねる価値があるのです。

それこそ、長崎に来た歴代のスターたちのほとんどすべての人達が立った歴史あるステージなのです。これで今の欠点が解消されてくれれば、往年の名スターたちと同じ場所に
たちたいというあこがれの場所となる可能性も大いにあります。

長崎は歴史の町、しかし何でもすぐに壊してしまうので歴史を語る石碑の町になっています。
これからは歴史を重ねたものがきちんと大事に残されていく町にする必要があります。

この記事を書いたプロ

三浦設計 [ホームページ]

一級建築士 三浦豪介

長崎県長崎県長崎市野母町1487-2 [地図]
TEL:095-834-8018

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