コラム

 公開日: 2013-10-02  最終更新日: 2014-11-09

スクラップ・アンド・ビルドと長崎市公会堂

スクラップ・アンド・ビルド・・・好きではありません。
基本的には建築に限らずせっかく生まれてきたものは最後まで使ってあげたいと思っています。
だから車もバイクも自転車も修理ができなくなるまで乗ろうと思っています。

クラシックカーの愛し方にはいくつかあります。
オリジナルを大切にして生まれたままの姿に近づけるレストア。
形を愛している人は現代車や身近な車を改造して形を真似たレプリカでも満足です。
古い車が好きで、部品がないと別の部品を流用してでも乗り続ける方もいらっしゃいます。
オリジナルは大事にしながらも、現代の交通事情に最適化する人もいらっしゃいます。

愛し方はそれぞれですが、それなりに愛があっていいものです。

この写真にある長崎市公会堂。DOCOMOMO100選に選ばれた戦後の貴重な建築です。
映画のロケにも使われたりもしています。
公会堂1
(画像は映画「7月24日通りのクリスマス」のテレビ画面を撮影したもの)

なにより長崎の人はいろいろな形で関わってこの建築での思い出を持っている方もたくさんいらっしゃると思います。

しかし、そんな愛着や思い出なんて目に見えないものですから効率とか経済性とかの前では切り捨てられてしまいます。そのせいか、予定では数年後には取り壊し新しい市役所を建てる計画なのだとか・・・。まさしくスクラップ・アンド・ビルドそのものです。

しかし、長崎市民の音楽・芸能に半世紀ものあいだ利用されてきたこの建築を簡単に壊していいものでしょうか。建築も車と同じようにいろいろな形で延命することが可能です。音響改修も可能だし、耐震化もできる可能性大です。言ってみれば現代の事情に最適化させることができる可能性は大きいのです。

なにより原爆復興のシンボルとして建設され長崎の文化活動に貢献してきた半世紀という歴史は捨てがたいものがあります。
ヨーロッパにある有名なホール、ウイーン楽友協会大ホール、コンセルトヘボウ、パリオペラ座など、どれも1800年代後期に建てられています。音響もさることながらその歴史に名をきざみたいというのも演奏家が憧れる所以でしょう。また、歴史は街のシンボルとして重要なファクターでもあります。

長崎では旧香港上海銀行でのコンサートは人気があります。音響がいいわけでもなく会場として使いやすいわけでもありません。ただ歴史的建造物の中で演奏するという、また、そこで演奏を聴きたいという日常経験できないなにかが魅力となっているのでしょう。

長崎市公会堂はせっかく半世紀という時間をかけて、やっと歴史を武器にできる時期になったのに、ここで歴史が終わるのは本当に惜しい気がします。先に書いたように建築物としての評価は「1988年に設立された近代建築の記録と保存を目的とする国際学術組織 DOCOMOMO」によってDOCOMOMO100選に選ばれた時点で世界のお墨付きです。
ホールとしては賛否両論があるようですが、こちらは現在では技術が整っているので改修することで名ホールに化ける可能性もあります。
できることなら半世紀という歴史で終わらせることなく、これからも歴史を積み重ねて長崎の現代建築のシンボルとして、また長崎の文化活動の拠点として、そして原爆から復興した証として末永く生き続けてほしいと願うばかりです。

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長崎県長崎県長崎市野母町1487-2 [地図]
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